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Life in Progress

Bismarck鯖でおバカな日常を繰り返しているタルタルの、音楽と愛と欲望(?)に満ち溢れたFF11&リアル日記。
2024
04,20

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2004
08,02

«HANABI»

ふと物心ついたときから、空というものに対して漠然とではあるけれど、憧憬の念を抱くようになった。
自分が飛べないからなのか、それとも一番身近に感じられる変化の具象化されたものだからだろうか。
今日の帰り道、青い絵の具を薄く延ばしたような夏のスカイブルーの空に浮かんだ、竜の尻尾のような雲が、少し頬を染めてピンク色に染まっているのがすごく印象的だった。

人がどれだけ人工物で地表を埋めてしまっても、この空だけは人の手に汚れずに残っている。
それなのに、一つだけ人がそんな空に手をかけようとしているものがあれば、それは花火だと僕は思う。
真っ黒なキャンバスに、まるで人の一生のように、一瞬、もしくは数秒にかけていろいろな顔を見せながら、人工の花は咲いて、そして崩れていく。
花開く瞬間も魅力的だけど、それ以上に消えていくあの空気がたまらなく好きだ。

横浜のみなとみらいでやっていた花火を見に行った。
はじめて顔を合わせる人たち。
最近では抵抗が薄くなってきてはいるけれど、心の中で描いていた人物像とのすり合わせをする瞬間というのはやはり緊張するものだった。
7人の大人数で、年齢もバラバラ。
思っていたのと随分違う印象の人が多かったけれど、口を開けばやはりあの人だ、という想いを一秒ごとに強くする。

最初、予約していた中華街のレストランで、コース料理に舌鼓を打った。
僕の好みから行くと、中華は四川系の方が好みではあったけれど、必要以上に出てくる料理の数々は、確かに大満足だった。
しかし、普通にしてれば美味しいから揚げとかも、何でわざわざカレー味にしたりするんだろう。
そんな感じで、ぶつくさ皆で文句を言いつつも、大仰な円卓を囲んで食べる料理で、なんとなく緊張もほぐれたみたいだった。

いざ桜木町へと繰り出し、ちょうどピークの時間になっていた花火が花咲く空を見上げる。
英語だと花火はFireballだけど、根本的にFireballと花火とは別物だと思う。
日本の花火は、ただ花開くだけでなく、最後に壊れることに対する美学が詰まってるような気がするのは自分だけだろうか。
よく、お茶碗とかでも、最後の欠けがあって完成するというアレと同じで、ただ花開くことが目的ではないんじゃないかな、と。

一つ、二つ。
あがる花火が崩れる度にきゅっと胸を締め付ける感情。
思い出していたのは、16歳の夏、付き合いだした女の子と初めて出かけた夏祭りの光景だった。
かき氷を一つだけ買って、一緒につついてたような記憶しかないのだけど、祭りとダイレクトにその記憶が直結してるのか、花火との連想ですぐ浮かんでくる光景だ。
僕の時間は、確かに動いてはいるけれど、そうやって部分部分では16のまま、20のまま、止まっているのかもしれない。

また、一つ花火が上がる。
そして、もう一つ上がり、やがてまた空は漆黒の闇へと帰っていく。
人の波が押し寄せてくる中、僕はいつまでもその闇に消えていく花火を見つめていた。
 
 
 花火があがる
 銀と緑の孔雀玉……
 パッとしだれてちりかかる
 紺青の夜の薄あかり
 ほんにゆかしい歌麿の
 舟のけしきにちりかかる

 花火が消ゆる
 薄紫の孔雀玉……紅くとろけて
 ちりかかる
 Toron……Tonton……Toron……Tonton
 色とにほいがちりかかる
 両国橋の水と空とにちりかかる
 花火があがる
 薄い光と汐風に
 義理と情の孔雀玉……
 涙しとしとちりかかる
 涙しとしと爪弾の
 歌のこころにちりかかる
 団扇片手のうしろつき
 つんと澄ませど あのやうに
 舟のへさきにちりかかる

 花火があがる
 銀と緑の孔雀玉……
 パッとかなしくちりかかる
 紺青の夜に 大河に
 夏の帽子にちりかかる
 アイスクリームひえびえと
 ふくむ手つきにちりかかる
 かわいいこころの孔雀玉
 ええなんとせう 消えかかる
      (北原白秋「花火」)
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タレ
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男性
職業:
ホストと言われるけど違います(´・ω・`)
趣味:
音楽だいすっき!
自己紹介:
Bismarck鯖でぼんやりと生きています。
音楽大好き(聞くのも弾くのも作るのも)、それなりに拘るけどがむしゃらは好きじゃない、PTは会話がないとつまんない・・・そんなヤツの日常ですが、よかったら見てやってくださいませっ。

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