2005 |
05,27 |
人は時に優しい嘘をつく。
漆黒の闇を内包した心を隠し、決断を下すことを極端に嫌う男。
彼はそう、その嘘を操って生きている。
僕らはそんな彼のことをこう呼んでいた。
−「戯言遣い」と。
というわけで、フレンドのミナさんから借りていた西尾維新の第一作目、「クビキリサイクル−青色サヴァンと戯言遣い−」、2日ほどで読み終わりました。
当時20歳の人が書いたという点を差引いても非常によく出来ている作品。
それだけでなく、トリックはシンプルながらも、その構成で十分に読める内容になっていて、するすると読み解いてしまいました。
ぼく、こと「いーちゃん」と、僕様ちゃんという謎の一人称で話す玖渚友、そしてそれを取り巻くキャラクターが本当に個性豊かで、さらに死ぬことに対する問答も出てきたりするのがすごく印象的。
必要なのかな、と思えるほど沢山盛り込まれたどんでん返しは、確かなエンターテイメント性を保持したまま最後まで疾走していたなあ、と個人的には感じた次第だったり。
どのキャラクターも個性豊かで、特に女性キャラクターについては、ややアニメめいた風味が逆にいい味になっていて、やや堅苦しい題材の中いい形で読み込める感があり、とても好感触^^
主人公の欝具合というのも、理由がほどよい形で隠され、いかにも続編を意識した作りながら、個人的にはいい塩梅で読めたかな、と。
ということで、次の作品にも手を伸ばしてみようと想いまっすw
ただ・・・面白かったし、先を読みたい何かあったものの、少し物足りなさもあります。
それは、恐らくその最大の魅力であるキャラクターたちに起因するところなのかなあ、と・・・。
今回のこの作品では、沢山の天才が出てきます。
しかし・・・僕個人としては、これを読んでいても彼らのことを天才だとはどうしても感じられなかった。
なぜなら、彼らの言動、行動はおおよそ自分の予定調和の中に落ち着いてしまっているから。
その天才ぶりを測るポイントは、○○という機関に属している、恐ろしく緻密な絵が描ける、といったどちらかというと物理的かつ絶対的な要素ばかり。
実は自分の好きな漫画やら本やらって、その分野でのプロだったり天才だったりって人が出てくるものが多いんスけど、彼らの思考についてトレースできる要素がおおよそ感じられなかったという感じだったのが残念だったんですよね。
特に七愚人の赤音さんなんかは、その思考のプロセス自体に価値がある人だと思うものの、そういった要素がなあ・・・。
(ただ、それこそが一つのトリックだとしたら、それはそれで物凄いトライアルだと思うけど・・・それがトリックならそれはそれでガッカリのような^^;)
おおよそ単なる知識レベルでの豊潤さ=天才ではないと個人的に思っているので、その辺りで競われても少し淋しいところです。
結局探偵役であるところのいーちゃん達のトークが、あまり知的格闘を要求されているものじゃなく、まして互いの知が鬩ぎあう中で徐々に解決への糸口を掴む、という感じではないんですよね。
天才同士のトークというよりは、秀才同士のトークというか。
まあ、語り部たるいーちゃん自身は天才じゃないから仕方ないところなのかも、とは思うんスけどw
・・・ぐちゃぐちゃいってますが、だんだんと先が読みたくなるつくりは秀逸。
あと、個人的には・・・この作品、題名通り「首を斬られた」死体が出てくるわけですが、この首を斬った理由こそがこれの新しさなのかも、とぼんやり思ったりもして。
ある意味褒め言葉なんスけど、ちょっとアレだよな、アレ(謎)
さて、第一作目、孤島における施設での首なし殺人事件といって思い出されるのは・・・やっぱり森博嗣の「すべてはFになる」だったりするんですw
正直なところ、あまりにも「F」の冒頭の会話の衝撃が強く、この本で出てくる天才たちにあまり心躍らなかったのは否定できないかもしんない。
というか、実はこの作者の西尾維新さん、森博嗣の大ファンらしいんですよね^^;
おそらく、第二作目以降は、作風なんかも変化していくのだろうけど。
世界の感じ方なんかは、独自の視点を持っている気がしたので、そこに着目しながら、次の作品にも手を伸ばしてみたいなあと思ってます。
問題は、あのアニメチックなキャラクターが踊るノベルズがあまりにも手に取りづらい点かもしれないスね・・・。
大人が買っても恥ずかしくない表紙にして欲しいよ、マジでw
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四神一鏡
お、もう読み終ったですか。
僕は最初の人物紹介で三つ子のメイドってところでノックアウトで、堂々の大人買いでしたがorz
実はファウストのインタビューで彼は、「読み手を意識した文章を書かなくちゃ駄目だ」、みたいなことを言っておりまして、おそらくキャラクターが記号的で分かり易いってのも、このあたりから流れてきてるんじゃないかなと。
>結局探偵役であるところのいーちゃん達のトークが、あまり知的格闘を要求されているものじゃなく
ここいらへんは確かにそうですね。どっちかっていうと、目星はついてるが証拠がないみたいな感じで、なんかコナンっぽいとか思った。
ちなみにタイトルがトリックを表しているような気がするんだけど気のせいかな?クビキリ*リ*サイクル
2作目以降はどちらかというとライトノベルっぽさが加速して、<赤き制裁>なんかが大暴れとかね。まあ彼女の場合は大暴れしても痛快なだけなんですがw
あ、あとキャラの名前が常軌を逸していきますw
僕は最初の人物紹介で三つ子のメイドってところでノックアウトで、堂々の大人買いでしたがorz
実はファウストのインタビューで彼は、「読み手を意識した文章を書かなくちゃ駄目だ」、みたいなことを言っておりまして、おそらくキャラクターが記号的で分かり易いってのも、このあたりから流れてきてるんじゃないかなと。
>結局探偵役であるところのいーちゃん達のトークが、あまり知的格闘を要求されているものじゃなく
ここいらへんは確かにそうですね。どっちかっていうと、目星はついてるが証拠がないみたいな感じで、なんかコナンっぽいとか思った。
ちなみにタイトルがトリックを表しているような気がするんだけど気のせいかな?クビキリ*リ*サイクル
2作目以降はどちらかというとライトノベルっぽさが加速して、<赤き制裁>なんかが大暴れとかね。まあ彼女の場合は大暴れしても痛快なだけなんですがw
あ、あとキャラの名前が常軌を逸していきますw
痛快ってのがまた気になるw
んー、コナンぽいって比喩は、言いえて妙だなあ・・・。
ある意味トリック自体はバレバレみたいなところもあったしなあ。
ただ、個人的にはミステリーを読もう!と思っているわけではないので、そこの辺りはあまり気にならなかったりもしてw
タイトルは、なんとなく気になってました。
というより、サイクルという言葉からして、そういうニュアンスだよね^^;
なんにせよ、最初はどうかなーと思ったものの、あっという間に読み終わったところを見ると、先を読みたいなと思う何かが強く存在していたのは間違いないかなと。
というわけで、今度ミナさんに森博嗣を押し付けにいくぜー!
ある意味トリック自体はバレバレみたいなところもあったしなあ。
ただ、個人的にはミステリーを読もう!と思っているわけではないので、そこの辺りはあまり気にならなかったりもしてw
タイトルは、なんとなく気になってました。
というより、サイクルという言葉からして、そういうニュアンスだよね^^;
なんにせよ、最初はどうかなーと思ったものの、あっという間に読み終わったところを見ると、先を読みたいなと思う何かが強く存在していたのは間違いないかなと。
というわけで、今度ミナさんに森博嗣を押し付けにいくぜー!
無題
たしかにこのシリーズは、するするっと読めちゃいますね。
いーたんの思考が散漫なので意図的に改行を多くしたってインタビューで答えてたから、それで読みやすかったのかも知れず。
僕のほうが暇ぽなので、続きはそっちの都合に合わせたほうが楽そうですな。
さて、こっちはこっちで「紫骸城事件」読み終えとかないと(;´Д`)
いーたんの思考が散漫なので意図的に改行を多くしたってインタビューで答えてたから、それで読みやすかったのかも知れず。
僕のほうが暇ぽなので、続きはそっちの都合に合わせたほうが楽そうですな。
さて、こっちはこっちで「紫骸城事件」読み終えとかないと(;´Д`)
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