忍者ブログ

Life in Progress

Bismarck鯖でおバカな日常を繰り返しているタルタルの、音楽と愛と欲望(?)に満ち溢れたFF11&リアル日記。
2025
01,17

«[PR]»

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2005
07,05



久しぶりにCDを買いました。
Mr.Childrenの「四次元」というシングル。
ポカリスエットのCM以来ずっと気になってた曲が、1曲目に入っている「未来」という曲でした。

サビが恐ろしくキャッチーな出来で、それに呼応したタイトルにちょっと胸膨らませながら歌詞カードを開けてみると、そこに書かれていたのは、意外にも希望ある未来に向かう曲ではなく、むしろその逆だったんですよ。
生まれたばかりの自分たちには無限の可能性があって、予感があった。
でも、実際の未来はそんな明るいものじゃないから、それから目を背けたがっている・・・そんな現実味溢れる歌詞が、ちょっと驚きだったと共に、それこそが胸を打ったような気がしたんです。

 生まれたての僕らの前にはただ 果てしない未来があって
 それを信じていれば 何も恐れずにいられた
 そして今僕の目の前に横たわる 先の知れた未来を
 信じたくなくて 目を閉じて過ごしている 

先日書いた「未来」という短編は、実はこの曲を聴く前に構想を練っていました。
天体望遠鏡からインスパイアされたんスけどね、ヨドバシカメラのw
ちょうどディテールを調整し、名前を考えているときに、ふとこの曲に出会ったおかげで、最後のピースがすんなりとはまったという。
奇しくも、同じようなテーマで描こうとしてたから、なんですけどね^^;

で、ミスチルといえば、実は僕ちょっぴり苦手だったんです。
たぶん苦手になったのは「深海」というアルバムがきっかけだったり・・・。
一般的にそうなのかもしれないけど、「Atomic Heart」や「versus」といったアルバムのノリを期待してたら、急にヘヴィなものが来て、ちょっと当時は拒絶反応が出てしまって^^;
(実は、今は聞きなおすといいなあと思うものも多いんですけど、もうちょっとPOPに包めないのかなあという気もw)
その後、また路線が変わったという話を聞き、「優しい歌」あたりからまた聞き出したんだけど、それでも逆に「君が好き」などのシングルはちょっぴり狙いすぎな感じでイマイチ好きになれなかったんですよね。

それでも、昨年出た「シフクノオト」はそれなりに聞き込んで、好きな曲もチラホラあって。
と思ってる最中に出たこのシングル、実は4曲とも珍しくツボに入りました。
こんな感じでアルバム1枚でないかなーなんて。

そんなわけで、短いですが、4曲をざっとご紹介。

◆未来
上にも書いた、すごく地に足の付いた等身大の未来を歌った歌。
Aメロのちょっとフォーキーな感じ、アンニュイなBメロ、畳み掛けるように入っていくこの上なくキャッチーなサビ。
久々にヘヴィローテーションでまわしたい曲と出会いました。いやー、いいなあw

◆and I love you
カップヌードルのCMでおなじみの曲。
「未来」と違って、頭から終わりまでトーンが統一されている曲で、対比がすごく面白い。
ミディアムでこういう感じの曲って意外と彼らにはなかった気もするんだけど、どこからどこまでもミスチル節。
言葉がすごく詰まっているところも含めてですがw
個人的には、ブリッジの部分の「どうしようもなく急に〜」の部分がすごく好きです。

◆ランニングハイ
初聴のときは、正直なところイマイチかなと思ったんだけど、ハードディスクウォークマンに入れて聞いてみると、意外とはまってしまったのがこの曲。
アグレッシブな展開を見せるんだけど、ギターがどこかブルージーだったり、裏のピアノがジャジーだったり、と実はサウンド自体は物凄く凝ってるんです。
スッキリしたいときに、ここぞとばかりに歌ってみたい曲かも。

◆ヨーイドン
この曲は、ある意味懐かしい感じがしました。
versusあたりに入ってても全然おかしくないようなサウンドで(my lifeあたりに近いかもw)、裏でグロッケンが響くのが一時期のミスチルらしい感じで。
子供に聞かせるには若干あっさり目なのかな、という感じもするけれど、それが味わい深くていいのかも。
でも、テーマはすごく未来にも通ずるところがあるような気がするんですよね。
四次元って、いわゆる四つ目の軸をどこに置くのかっつーことを問うてる4曲なのかなーという印象をトータルで持ちました。


僕の4つ目の軸は・・・時間ではなく、優しさだったり、温かさだったりするといいんだけど。
PR
2005
07,03
ジュノ下層をブラブラと歩いていたある日のこと。
「タレたん、レベル上げいく?」
リンクシェルから僕を呼ぶ渋い声。
それは、最近同じレベル帯だということで、一緒にコンビを組んでいる忍者さんだった。
ヒュームの金髪と大阪弁のミスマッチさが聞こえるたびに、僕は思わず頬をほころばせてしまう。

「おう、行くか」
僕は競売所から視線をそらし、レベル上げ希望の冒険者を忍者さんと共に探した。
夜半過ぎということもあって、人は多くても、レベル上げ帰りの冒険者ばかりだ。
ちらほらと見かける顔を見てパーティーにさそうものの、最後まで魔道士の枠が余ってしまうのだ。
「やっぱり赤魔道士か詩人がいないとね・・・」
「いないね・・・」
幾度となく繰り返すこの会話。
間接的に補助する形のジョブは圧倒的な人気を誇り、引く手数多になる一方だった。
冒険者が成熟し、高いレベルでの戦闘を行うようになった今もそれは変わらない。

「詩人ゲット!」
まるで竿に魚がかかった時のように、忍者さんが叫んだ。
思わず緊張していた空気が緩む。
これで今日も狩りに出かけられる、そんな安堵感のみが場を支配していた。
しかし。
その詩人さんがパーティーにジョインした瞬間、僕は思わず固まってしまうことになる。

「こ、この人は・・・」
(タレたん、どうしたん?)
(この人やばいよ・・・恐怖の詩人って言われてるんだ)
(またまた〜w)
小声で話す僕らに、その黒い髪をなびかせた長身のエルヴァーンの吟遊詩人は、ゆっくりと口を開いた。
「狩場はまだ決まらないんですか?」
「え、えっと・・・」
忍者さんがまごつく間に、詩人さんは眼鏡をくいっと指で押し上げ、パラパラと懐のメモを取り出した。
「この組み合わせだとクフタルの洞門、ル・アビタウ宮殿、乱獲気味にテリガン岬といったところですが、どこも許容量をオーバーしていますね。
となると、後は時間を見計らってロ・メーヴに行くというところ。現在3パーティー、右の右が空いています。意見は?」
「・・・はい、それで・・・」
決して怒られているわけでもないのに、何故か恐怖に凍るパーティー一同。
まだ狩りは始まっていなかった。

「それでははじめましょう。敵はウェポンとゴーレム。ゴーレムは3か4チェーン目に持ってきて、須らく5チェーンを維持するように」
「は、はい・・・」
「狩人さんとシーフさんなので、連携はダメージ重視でいきましょう。スラッグショット>ダンシングエッジ、忍者さんが闇連携をつなげられそうなときは合図をする」
「りょ、了解・・・」
(おい、リーダーはお前じゃないのかw)
(し、知ってるつーのwいいやろ、たぶんこの人うまいだろうし)
またもやこそこそと話す僕らに、詩人さんの目がキラっと一瞬光り、
「・・・おしおきですね・・・」
「え?」
「何でもありません。早々にはじめましょう」
かくして、僕は、どこか得体の知れない不安に震えながら、ナイフを2本取り出し、構えを取った。
フックの形に曲がった特徴的なハルパーの刃が一瞬詩人さんの姿を映し出す。

彼は・・・明らかに僕がナイフの刃ごしに見ていることを知っていた。
この上なく、上級な笑みを浮かべて。
狩人さんがやがて連れてきた獲物をひたすらナイフで切りつける。
今日はサポートジョブが侍だったため、幾分ナイフが温まっていくのが早い。
「連携いこう」
狩人さんが強烈なダメージをたたき出した後、僕は横に5回ナイフですばやく切り開いた。
刃の軌跡が踊るかのように見られるこの技は、ダンシングエッジと呼ばれるシーフの真骨頂だ。
しかし・・・5匹目の獲物を引っ張るのに少し出遅れてしまった狩人さんは、にわかに舌打ちをした。
明らかにチェーンと呼ばれる連続で敵を倒すポイントがずれてしまったからだ。
「・・・おやおや、切れてしまいましたね。どうしたことでしょうか。まさか切れるとは」
詩人さんが独り言にしては随分と大きな声で呟く。
唇の端には笑みを、目の端には冷徹さを滲ませているのは、もはや誰の目からも明らかだ。
「これは誰にお仕置きしたらいいのでしょう・・・ふふ、楽しみですね・・・」
(ちょ、ちょっと、やっぱりヤバイだろ?この人)
(い、いや、歌はよく歌ってくれたよ・・・)
(そういう問題じゃないだろwオレたちの命が・・・)
そう小声で会話をしていると、さっと獣人の模様が描かれた両手棍が出され、
「続きをどうぞ・・・死にたいのならね」

僕らは、それから無言で狩りを続けた。
おかげで、効率よく狩りは進んだが、僕らは暑くもないのに汗をかき続けたのは言うまでもない。
ちなみに、その詩人さん、亡くなった親友と同じリンクシェルのリーダーをしていたということが後で分かり、話しかけてみたのだが・・・。
「誰ですか?それは」
「ああ・・・彼でしたか。なるほど・・・(微笑)」
夏の夜に相応しい涼しさを齎してくれた詩人さんは、今日もヴァナディールのどこかで怪談話を一つ作っている。
2005
07,01
「タレっちって、占いとかあんまりやらん人でしょ?」
「なんで?」
「だって、そういうのバカにしそうだしwすごい科学的なことをバシバシ言いそうなタイプに見えるかも?」

そんな印象を僕にお持ちの方がいらっしゃったら、それは大いなる間違いです。
なぜなら、

占 い 大 好 き だ か ら

そう、何を隠そう、オレは隠れ占いマニアだったのですよ、むふふ。
基本的に、どれもこれもあたってるなーと思って感心するだけのヤツなのですが。
たとえば、動物占いなんかだと、ライオンだったりします。

○ライオンの特徴
・自分に対しても他人に対しても厳しい
・VIP待遇が大好き
・値段が高いものがスキ
・世間体を気にする
・睡眠不足と空腹は大敵
・家ではルーズ!?
・口癖は「スゴイ」「絶対」

一番下のは違うだろと思ってたら、「この間食べた焼肉さ、すげーうまくなかった?」など、スゴイではなく、すげーに置き換えて使っていましたorz
そして、一番上の厳しいこととか、外がしっかり、中がルーズみたいな特徴もそのまんま。
睡眠不足と空腹はいつものことですが・・・w

なぜ占いが好きなのか。
それは、たぶん手ごろな現実逃避の手段だからだと思うんです。
神様がある意味責任転嫁のメカニズムだとすれば、占いはそのさらにミニマムなバージョンなのかも。
要はそこに意味づけを持てるかもてないかのことだと思うんですけどね^^;


さて、そんな占い好きの皆さんのためにとっておきのコレを紹介しましょうか。
と、数人に紹介したら、「あーなんかあったね」といわれました。
オレは昨日まで知らなかったのにー!!!1

ハァハァ、それはさておき・・・カバラ数秘術という怪しげなものなんです。
http://www.cc.rim.or.jp/~tau/kab.html
詳しくは上記のサイトに飛んでみてくださいw
まあ、やってみれば一目瞭然。
オレの場合は、ですが、妙にあたっていて参りました^^;

◆あなたの誕生数
5 (叡智の園を切り開く探検家)
◆長所
機敏、器用、活動性、雄弁、適応力、柔軟性、多才、軽快、知性的、新鮮さ
◆短所
神経質、不安定、分裂的、取り越し苦労、虚勢、首尾一貫しない、狡猾
◆備考
地味な仕事には耐えられない性格だ。

地味な仕事に耐えられないっての、意味がわからないwww
でも、ある意味当たってるんだろうな。
自分がいてもいなくても一緒っていう状態で仕事をするのはなんかイヤだなーと、いつも思っていて。
単なるマンパワーではない部分にこそ貢献したいなってw

長所、短所はバッチリあたってるのが怖いッス。
狡猾ってなんだよと問い詰めたくなりましたが、なんかあたってるといわれそうだし・・・orz
長所について語るとイヤらしいのでやめておきますがw


◆あなたの印象
タフで情熱的で魅力がある。統率力があり文化的な組織や施設をつくる。


統率という部分については、あまり自信がないんだけど、知らず知らずのうちに自分の周りに人が集まってきて、一派になるってのはよくあるかもしれません。
ただ、決して多数派にならないっつーかw
創るという部分がどうも僕の人生を彩ってるらしいのは、今回の占いでも感じる部分です。


あなたの2つの願望
◆外面的願望
価値のあるものを創造したい、精神的愛を広めたい
◆内面的願望
認められたい、尊敬されたい、新しいものを創造したい


このあたりが特にそうで、創造という言葉が二つに出てる珍しい感じ。
でも、新しい価値やものを創りたいってのは、すごくあたってるよなあ。
それが精神的なものだということも。


◆名前の最初の子音
(やさしい性格。柔和さの持ち主)
◆名前の最初の母音
(明るく陽気。社交上手で情熱家。やや短気)


やや短気とか、柔和さとか、なんかよく言われることそのまんまジャマイカwww
ということで、多様性の中から、何か新しい価値を創りたいっていうのがどうやら僕を象徴してるらしいのがなんとなくわかりますよねw
これ、実はホントそのまんまあたってて、人にはあまり話したりしない部分なので、結構びっくらこきました。
ま、占いなんスけど・・・w
2005
06,30
友達のふぃるさんからゲームバトンを頂きました。
最近流行ってるよね、これw
半ばチェーン化してないかが気になるところではありますが、せっかく頂いたバトン、有効に生かしてみたいなあーと思ってます。
なぜか設問が英語なので、英訳も付けてみますかねー・・・気力もたなさそうorz

1.Total volume of game files on my computer
(コンピュータに入ってるゲームファイルの容量)

今のPCにはファイナルファンタジー11しか入ってないなあ。
ただ、昔もってたSFCやFC、GBAのソフトもちらほらとバックアップが・・・。
逆転裁判1,2をGBA本体では結局プレイしなかったのはナイショd
だって画面小さくて見難いんだもん・・・w
あとゲームじゃないですが、なぜか大航海時代オンラインのベンチマークが入ってます。
意外とこのベンチマークのピアノの音楽が癒されることに気付いた今日この頃。
これで、もうちょいキャラクターの造詣がよく出来てたら、喜んでプレイしてたのに・・・。

In fact, I installed only Final Fantasy11 in my computer.
In addition to it, I conserved the software running on SFC,FC,GBA and so on…
(For your eyes only) I didn’t play Gyakuten-Saiban1&2 on GBA body cuz the display is so small to recognize some letters for me.
−英訳つけるのめんどいんでここまででいいですかwww

2.Game playing right now
(今進行中のテレビゲーム)

上記のファイナルファンタジー11は、正直プレイ中と言えるのかわからないけれど、少なくともライフワークのような感じになってるかも。
いうなれば、PCを立ち上げてメッセンジャーを起動するのに近い感覚。
最近でもないんですが、少し前までPSP版のポポロクロイス物語というRPGをプレイしていました。
途中で止まってるんスけどね・・・w
氷の女王編はやって、少しだけ胸の奥がじーんときました。

3.The last video game I bought
(最後に買ったテレビゲーム)

最後に購入したのは、中古で購入したフロントミッション4と、初回限定版をわざわざ探しに行った半熟英雄4.
どちらもまだ封切ってもいません・・・w

4.Five video games I play to a lot, or that mean a lot to me
(よくプレイする、または特別な思い入れのある5つのテレビゲーム)

本当はFF11も入れたいところですが、あれはもはやテレビゲームというカテゴリーの話でもない気がするので、違う5本を選択しました。5つって考えると難しいな。

・ファイナルファンタジー6
基本的にFFシリーズ大好きなので、絞り込めないんですが、一つだけもし選ぶならば、最初にプレイしたこれを選びます。
ぶっちゃけ、FFシリーズ5本でも全然オッケイなんですけどね・・・w
出てくるキャラクターがみんなどこか愛らしく、そしてどこか弱さと、誇るべき何かを持っていたのがすごく印象的だったし、何より行き着くところまで行き着いたグラフィックや、ゲーム音楽とは思えないクオリティを発揮していた音楽に当時物凄く引き込まれたのを今でも覚えています。
たぶん、このゲームに出会わなかったら、その後の僕の人生だって大きく変わっていたはず。

・探偵神宮寺三郎 夢の終わりに
基本的に、ゲームでも小説でも、その世界が好きになれるかどうかが重要だと思う自分にとって、このゲームのどこまでも人間臭いキャラクターたちが織り成す世界は、本当に大好きです。
言葉に出さない、言葉に出せない曖昧な、でもとても大切な感情をそれぞれが持ってることの美徳というのをなんとなく感じてしまう、そんな人間関係が織り成す様々なドラマたち。
そして、それを彩るジャズを基調としたステキなBGM。
夢の終わりにでは、大事な肉親への想いであるとか、大事なパートナーへの言葉にできない感情が所狭しと溢れていて、今でも大事にしたい作品です。
現実の新宿という街はそんなに素敵に感じられないのに、どうしてこんなにもこのゲームの中の新宿は魅力的に映るんだろう。そこにきっと僕の大切な何かが眠っているのかもしれません。

・MOTHER2
大人にこそやってもらいたい、子供へのメッセージがたくさん詰まった愛のゲーム。
プレイし終わったとき、とても優しい気持ちになって、誰かにその温かさを伝えたくてたまらないと思った。
このゲームの話題を共通に出せる方というのは、他のゲームのそれと違って、お互いがすごくその温かさに包まれたまま話ができるような気がして、とても近い気持ちが流れるような気がするんです。
僕の中のネスは、ドラえもんを食すステキなヤロウでしたがw
図書館のお姉さんやハンバーガーショップの店員といった、端役の人までもがこんなに生き生きとして、また魅力的なゲームを僕は他に知りません。
もし将来子供ができたら、きっとこのゲームをやらせたいなあと思います。

・どこでもいっしょ
やっているときは別に特別だとは思えなくて、自分の言葉を使って会話してくれることの面白さにただ酔ってた気がする。
ちょっぴりお人よしで勘違いヤロウなネコのトロがそのうち可愛く見えてきて。
1度目のお別れのとき、ふとそんな別れ方でいいのか、と淋しくなりました。
それからの日々は、なんだか失われていくものをただ留めようとする一心でトロとずっと話してた気がする。
そして、2度目のお別れのとき。
残された日記のメッセージを見て、改めて切なくなりました。
・・・そんなゲームです。

・パラッパラッパー
紙のように薄い造形で、ちょっぴりドジで愛らしいキャラクター達が織り成す日常の面白さをラップにしちゃったという活気的なゲーム・・・なんていわなくてももはやOKだろう、大人気ゲーム。
僕がこのゲームと出会ったのは、レンタルショップのゲーム売り場での試遊機だったりするんです。
ゲーム自体、見たこともない面白さだったのに加え、アメリカの上質のアニメを見ているような感覚に酔いしれたというか。
続編も含め、アニメパートのあの感覚は、決して他で刃味わえないテイストだと思っています。
残念ながら、テレビアニメになったパラッパは、そのテイストが薄れちゃったんだけど、どこまでも楽しませようというそのエンターテイメント精神と、飽きの来ないゲーム性や曲というバランス、英語がこれほどまでに似合うゲーム・・・諸々含め、奇跡的なバランスで保たれてるゲームだと思っています。
個人的には、他のゲームのキャラも含め、パラッパが一番スキなんですよ、実はw

5.Five people to whom I'm passing the baton
(バトンを渡す5名
正直バトンは行き渡ってるような気がするんですけどね^^;
一応、
・ぽーさん
・いかるがさん
・テトラさん
・Ligaさん
・Fouさん
という5人にお渡ししておきますが、使う使わないはご自由に、ということでw


正直なところ、好きなゲーム5つって考えるとすごく難しかったんです。
たくさんあげることもできるけれど、5つというと逆に思いつかない側面もあって。
格闘ゲームなんかで填まったものも入れようかと思ったけれど、やっぱり感情の触れ幅が大きかったり、その世界がたまらなく好きだった5本を選択しました。
まあ、FFシリーズでいうと、FF4,7,9,10なんかも大好きなので、それで5本埋まっちゃいそうな感じだったし、他にもベイグラントストーリーなんかも入れてみたかったりはしたけれど。

どれも、誰かに是非勧めたかったり、特に自分の子供が出来たときにいつかやってみてほしいなと思うものばかりでした。なんでそんな選択眼を持ってチョイスしてたかはさっぱりわからないんですけどねw
2005
06,28

«未来»

050620_194755.jpg


「天体観測ってしたことある?」
「天体観測?小学校のとき屋上で見たくらいだな」
僕の返事に、彼女はちょっぴり失望したような表情を浮かべた。
よく見ると、いつからか、彼女の目の奥に光るものが見える。
梅雨時の空模様のせいで、ちょっぴり膨らんだクセのあるダークレッドの髪の毛をクルクルと指に巻きつけながら、彼女は上を見上げた。
見えたのは星でも月でもなくて、単なる鉄パイプと鉄骨でできた人工的な空間だった。

★☆★


7月の呼び声が近づいてくる6月の終わり。
今年は、梅雨らしい日というのをおおよそ感じられなかった。
雨嫌いの自分にとっては、ちょっぴりほっとしながら、朝焼けの空を見上げてた気がする。
不透明な空ってのはどこか不安だけが浮き彫りになるみたいで、思わず自分の鬱な側面を向かい合うことになっちまうのがたまらなく嫌だった。
そんな雨とも無縁だと思って出かけた週末の日曜日。
普段行きなれない渋谷にCDなんて買いにいこうと思ったのが間違いだったのだろうか。
首筋にふと冷たい感触を覚えたのがつい先ほどのこと。
目的のCDショップに行き着く前に既に音を立てて落ちてきた水音に終われるように、僕は近くの家電量販品へと逃げ込んだ。
−そして、たまたま天体望遠鏡コーナーのところでばったりと出会ったのが、クラスメートのユウだったのだ。

「珍しいな、雨宮も。日曜は勉強とかしてるんだと思ってた」
「う、やっぱり未来くんもそう見える?そんなガリ勉じゃないよ、わたし」
そういいながら、端正なその顔に少ししわを寄せて笑う雨宮ユウの姿は、確かにクラスでいつも見せる優等生の表情とは違って、やわらかく、そしてお世辞抜きでも可愛いと思う。
学校での彼女は、ガリ勉というよりは、どこか近寄りがたい、冬の朝のような空気を纏っていて、僕のみならずクラスの男子は声をかけるやつさえ少なかった。
もっとも、高2になっても未だ色恋沙汰とは凡そ縁のない僕が、本当の雨宮の姿を知らなかったとしても無理はないのだろうけど。
ちなみに、「未来くん」ってのは渾名じゃなく、僕の本名だ。
水無未来という本名を口に出しても、一度で理解されることは少ない。
いつもは照れくささを力づくで抑えてしまいたくなるその名前だけど、普段と違うシチューエションで、女の子から発音されると、意外にも悪い気がしないもんだな、と僕はどこか熱っぽくなる自分を意識していた。

「あ、雨宮は何してるんだ?こんなところで」
「・・・ちょっとね、お買い物に寄ったついでに、コレを見に来たんだ」
そう言いながら彼女が指差したのは、白く丸いフォームが印象的な天体望遠鏡だった。
こんなもの見たのは、いつ以来のことだったんだろう。
そして、彼女は少し目をそらした後、もう一度僕の目を覗き込むようにこう言った。
「未来くん、天体観測ってしたことある?」
その続きが、冒頭のシーンというわけだったんだ。

★☆★


天体観測といって思い出すのは、バンプオブチキンの曲といったレベルの僕にとって、彼女のその翳った表情は予想外のことだった。
もともと女の子と話すことに慣れてないせいもあって、思わずうろたえてしまう。
「い、いや、その、天体観測、いいと思うよ。ほら、しし座流星群とかなら、ちょっとベランダから姉貴と一緒に見たことあるし・・・」
正確には姉貴が見ていた、だけなのだが、心の中で姉ちゃんごめん、と一言謝っておいた。
僕の必死の答えにも彼女は特に反応を示さず、天体望遠鏡を一撫でし、やがてショートカットの髪の毛を揺らして出口の方向へと立ち去った。
ざーっと雨の音だけが戸口の方から音を増して、僕の耳に突き刺さる。

結局僕はビニール傘を購入し、出口の方へと足を踏み出した。
ユウは戸口に立ち、落ちてくる雨粒の等加速度運動を計算するかのように、じっと薄暗い空を見つめている。
「・・・やまないな、雨」
「うん」
よかった、シカトされなかった、と僕はちょっと胸を撫で下ろしながら、ほらよ、と傘を差し出す。
「え?これ今買ったの?」
「必要なら使ってくれればいいよ。オレが送っていきたいところだけど、また怒らせるのイヤだし」
昔からつい言わなくていいことを言ってしまうのが僕の悪いクセだった。
また変なこと言ってしまった、と思いつつ彼女の方を見ると、彼女は意外にも傘をそのまま握り締めたまま・・・なぜか片側の手で僕の手を取った。
「未来くんごめん・・・ちょっとだけいい?」

女の子の手って柔らかいな。
ショートしてる頭はそんな言葉だけをぐるぐるとかき回す。
僕は、しびれた片側の手をできるだけ意識しないようにして、狭いビニールの傘に彼女と僕の身体を押し込めて、すぐ近くのカフェへと走った。
ちょっぴり上を見たり、はたまた下を見てグルグルとアイスラテをストローでかき回すユウが落ち着いたのは、それからたっぷり20分してからのことだった。
「ごめん、わたし変だったでしょ・・・実はね、さっきお父さんとケンカしてきたの」
「ケンカ?」
意外な展開に僕は思わずその言葉を聞き返した。
彼女は黙ってかぶりを振ると、再びストローをぐるぐるとかき回した。
既にアイスラテは泡だってしまっていたけれど、僕は何も言わずに彼女の冷たい手の温度だけを感じていた。

「わたし、小さい頃から星が好きでね。いずれは天体観測の研究をして、宇宙開発の分野なんかとも連携を取っていきたいなって思ってるんだ」
「でも、さっきお父さんにこっぴどく怒られちゃった。趣味と本業を見失うやつがあるかって・・・なんだか泣きたかったけど、わたしも素直じゃないからそういう自分がいるのもイヤで、飛び出してきちゃった」
成績優秀、容姿端麗なんていうマンガに出てくるようなキャラそのまんまの彼女の口からそんな言葉が出てくるのが意外で、僕は汗をかいたフラペチーノの器をそっと引き寄せながら、自分の環境を思い起こしていた。
僕と同じだけの年数しか生きてない彼女が、こんなにも真摯に、真剣に自分の将来について考えてることに、僕は何よりもびっくりしたんだ。
それに引き換え、僕ときたら、背も普通で、勉強だって大して目立つことはない。
今時っぽいランダムカットの頭、ファッションは古着中心だけど、別に特別オシャレなわけじゃないし。
適当に好きなバンドのCDをエアチェックしたりしてるだけの、平凡な高校生。
なんでユウがそんな僕に悩み事を打ち明けてるのか、さっぱり理解できなかったのだけど、次の彼女の言葉はそんなつまらない謎を氷解させるのに十分だったんだ。

「未来くんは・・・ご両親から星の研究とかしろって言われたりしない?それってすごく羨ましいなって・・・」
そうか、それは僕ではなく、僕の両親を透かしてみた言葉だったんだ。
そう思った瞬間、僕はなんだかたまらなく切なくなった。
僕の両親は、いわゆる宇宙開発の分野で一年の半分はヒューストンにいる。
正直、両親は僕の進路には至って興味がないようで、僕も一言だって相談をしたことはなかった。
もっとも、深く考えていなかったってのが一番の原因なんだろうけど。

ただーそうにしたって、なんだか初めて自分を必要としてくれたと思った相手が、実はそうじゃなかったってのは、僕が思う以上にたまらなくショックだった。
別に必要とされたいなんて思ったことはないけれど・・・どうでもいい、っていう感情は、誰かに嫌われるよりもずっとずっと堪えるんだということを、僕は初めて知った。
結局、僕がいえたのは一言だけ。
「そういうこと聞きたいなら、オレじゃなくて、親に直接聞いてくれればいいよ。オレは雨宮には必要ないじゃん・・・」
ビニール傘を置いたまま、僕は彼女の手を離し、席を立って雨降りしきる渋谷のセンター街へと飛び出した。
冷たいように見えた雨も、ユウの手よりはずっと温かいような気がした。

情けないよな、そう僕は何度も口に出して雨の街を走った。
なんだか、世界中の誰にも結局相手にされないガキなんだよ、と歩いてる人から笑われてるような、そんな気分。
道の端に微かに色を添える青い紫陽花が、不意に滲んで、やがて後ろへと流れていく。
結局濡れたまま僕は家に着き・・・案の定というか、体をたっぷり冷やしたツケが次の日に回ってきた。
ピピッと無表情な音を立てた体温計には、38.9℃という数字がチカチカと点滅していた。
僕は、学校に熱のため休む旨を電話で告げて、気だるい体を引きずりながら再びベッドへと潜り込む。
窓の向こうでは、夏が来るのを拒むかのように、薄暗い雲の群れがひたすら空の青を押しとどめていた。

★☆★


いざ眠ろうとしたとき、ガタンと玄関で音がした。
「ただいまー、未来いるの?熱あるっていうから心配しちゃったじゃない」
重たい鉄製のドアをきしませながら入ってきたのは、姉貴だった。
「おかえり、デートどうだった?」
「うーん、雨降っちゃって結局ずっとお茶飲んでた・・・ってコラ、あんたにデートって言ってないじゃん」
ごつんと可愛い弟の頭を容赦なく叩いた姉貴は、僕と3つ年が離れている。
少しだけ外にカールした素直なロングヘアの、如何にも上品そうな顔立ちとは裏腹に、中身は結構あのシーザーと比肩できるくらいの横暴さを持ち合わせているとかいないとか。
ブルータスな立場の僕は、いつか下克上を・・・という冗談はさておき、僕と姉貴は、世で言う姉弟の中ではそれなりに、というよりはかなり仲のいい部類に入ると思う。
あまり真剣な話をしたことはないけれど、僕も姉貴も意外と二人でどこかに出かけることもあったし、姉気がが母親との間のいい緩衝材のような役回りを立ち回ってくれることもあって、それなりに頼りにしてる人だ。
もっとも、そんなこと姉貴に言ったら絶対に調子に乗るか、頭おかしいんじゃない?とか言われるに違いないのだけど。

「それより、あんた熱はもういいんでしょうね?」
「うん・・・だるいけど。朝帰りの姉ちゃんに心配されたくないなあ」
「本当に可愛くないヤツ・・・別に秘密にすることなんてないわよ」
そう言いながら姉貴はプラダのケリーバッグを乱雑にテーブルへと乗せて、そのまま台所へと立った。
やがて、お酒の甘い香りがプンと空気を支配する。
「玉子酒つくってあげるから、ちゃんと寝ていなさいよね。わたしにうつされるのが一番困るんだから」
ブツクサいいながらも、姉貴はせっせと手際よく玉子酒を準備し、ダイニングでおとなしく座っていた僕にトンと音を立ててマグカップを置いた。
もう体の方はそんなに熱っぽくはなかったけど、こうやって不意に優しくされると意識してないところから涙が溢れてきそうで、僕は慌てて外を向きながらまだ熱い玉子酒をすすった。
一口、二口と飲むうちに、じんわりと体中が発汗していくのが分かる。
それは、不思議と心の中にまで沁みていくような気がして−僕は、心の壁ってやつも意外と細胞壁と同じような構造なんだろうな、と授業で習った細胞壁の図を思い描いてみた。

「姉ちゃんはさ、どうやって進路とか決めた?」
まだじんわりと熱を持ったマグカップを片手でまわしながら、僕は姉貴の目を見ないままそう呟くと、姉貴は少し間を置いてこう答えた。
「・・・進路ってさ、嫌な言葉よね。
別に進むべき道なんてどこにもないのに、まるで道があるような言い方するから。
生まれたときは確かに無限の可能性を秘めて生まれてきたはずなのに、結局何もない道を、色々な制約の中で歩いてきただけのような気がする。
わたしもね、あんたも知っての通り大学に進んだけれど、特にやりたいことを決めて専門を決めたわけじゃないの」
姉貴の専門は、デザインと認識論が融合したような分野らしいんだけど、前に話を聞いたときはチンプンカンプンだった。
その話を聞いたとき、「人の認識という切り口からデザインを考えていくと、デザインってのは単なる芸術に押し留めるのは勿体無い、非常に理知的な分野の学問だということを再認識するわ」なんてことを言ってた覚えがあるのだけど。
「大事なのはね、今の時点で進むべき道が思いつかないというのも、立派な意思だってこと。勿論それを隠れ蓑にしたらいけないけれど、自らの意思で全ての可能性を追求することは悪いことじゃないわ」
そして、姉貴は片目をつぶり、こう付け加えた。
「今のは、お父さんの言葉の受け売り。可能性を絞らないことも、また無意味に絞り込むことも、同じくらい価値のないことなんだって」
「でも、オレやりたいことなんて思いつかないしさ・・・誰かが必要としてくれるとも思えないし・・・なんかヤだなあ、こんなのって」
珍しく弱気な僕に目を細めた姉貴は、ツカツカと立ち上がり、僕の頭をぐしゃぐしゃとかき回し、こう呟いた。
コツ、コツと時計が規則正しく秒針を刻む音が妙に大きく聞こえる。
「そんな偉そうな弟なんて要らないわよ、わたしは。誰かのために生きてるわけじゃないじゃない、未来だってさ。
自分のために生きて、その中で助けられるときがあれば助ける、助けて欲しいときがあれば助ける。
家族だってそうよ。そういうときのためにわたしやお父さん、お母さんがいるんじゃない」
「・・・うん」
殊勝に頷いた弟の顔に満足したのか、姉貴は照れくさそうに髪の毛をかきあげ、シャワールームへと姿を消した。
やがて聞こえてきた水の音をBGMにしながら、僕は今の姉貴の言葉と、進む道を見据えて真っ直ぐに話をしていたユウの顔とを交互に思い返していた。
僕は、いつか誰かに必要だと思ってもらえる存在になれるのだろうか。
思えば思うほどに熱っぽくなる体を引きずり、僕は再びベッドへと転がり、目を閉じる。
夢の中で、僕は無限の可能性を持ったままの生まれたての赤ん坊へと還っていった。

★☆★


次の日。
珍しく連日での雨模様。
やっと学校へと登校した僕は、6限目が終わるやいなや学校を飛び出し、もう一度渋谷へとやってきた。
制服姿のままで歩く渋谷は、ちょっぴり不思議な気分。
水の防御壁がまるで一人一人を隔離してるかのようにも見えて、いつも嫌いな雨だったけど少しだけスキになれそうな気がした。

ストライプブルーの傘の下に守られながら、昨日の天体望遠鏡売り場へと急ぐ。
傘の水を払い、望遠鏡に手を伸ばそうとしたとき、ふと人の気配を感じて振り向いた。
「・・・雨宮」
雨宮ユウが立っていた。
今日はブレザーの制服を着ているせいか、いつもの凛とした佇まいだった。
ただ、走ってきたのか、少し上気しているようで、慌ててる雨宮も珍しいな、なんて暢気に考えている自分が少しおかしかった。
「追いかけてきたんだ、未来くんを。ここに来るなんて思わなかったけれど」
「・・・親に連絡取れとかそういうの?だったらオレは悪いけど力になれないよ」
「そんなんじゃない、違うよ未来くん」
「いいから黙って聞けって!
オレは雨宮と違って、自分のやりたいこともわかんない、情けないヤツなんだ。
親が夢のある仕事してても、息子は何の夢も持っちゃいないんだよ。
親も自由に育ててくれてるのか、特に何もオレに要求したりもしないのが、正直悔しいんだ、いつも。
そんなオレに雨宮みたいなヤツがあれこれ言っても、眩しすぎるだけでさ・・・辛いんだよ」
一気にそう吐き出すように言って、ユウの方を垣間見ると、彼女は意外にもその上気した表情を崩さず、僕の目をただじっと見ていた。

「だから違うの・・・別にご両親に話を聞きたかったとかじゃない。
勿論そうできたらうれしいけど・・・わたしは未来くんと話をしたかったの。
正直言うと・・・わたしがこうやってやりたいこと決めたのは、両親が反対するの分かってたから・・・それだけなんだと思う」
「え?」
「だってこんな年でそんなやりたいこととか決めちゃってる人の方がおかしいと思うもん。
悩みは違えど、同じように私以外の人だって悩んでるんだってことが分かって、ちょっぴりほっとしたんだ。
未来くん、いつもやりたいことを真っ直ぐにやってるような気がしたから・・・そんな人でも悩んでるんだーって」
そう言うと、ユウはちょっぴり複雑そうな表情を浮かべたまま僕から目を逸らした。
だんだんと、昨日見た防御壁の薄い表情へと帰っていくみたいに見える。
「オレ、そんな風に見えてたんだ」
「うん・・・といっても、クラスの女の子たちがそう言ってただけなんだけどね。
未来くんって、迷わないでやりたいことやってるような感じだよねって。
そんな人に偶然会って、つい甘えちゃっただけなの」
そう言いながら笑うユウの向こうには、どんよりとした雲を押しのけて青い空がチラチラと顔を覗かせているのが見える。

 誰かのために生きるわけじゃない。
 でも、自分がそれを忘れない程度には、誰かに必要とされたい。
 そう思うから、僕たちは迷うんだ・・・
それに気付いたとき、僕はふと憑き物が落ちたような気がした。
親に、じゃなくて、僕と話をしたいという彼女の言葉がなんだか嬉しくて、僕はその感触を忘れたくないな、とその瞬間ひたすら願ったんだ。
その感触を、その生まれたばかりの情熱を忘れたくないから。
僕は傘を畳みながら、天体望遠鏡を買うために店員に向かって手を上げた。

★☆★


あれから数年が経ち。
僕は、結局両親の分野とは全く関係のない、法学を専攻し、大学卒業後は潰しの利く営業職を選んだ。
ユウはどうやら夢だった宇宙開発センターへの勤務が決まったみたいで、年に2、3回ほど細々とメールで連絡が来る。
あの後、別に彼女との関係が変化したわけではなく、たまに望遠鏡の話や星の話をしたくらいだった。
結局、いつだって思うようには道は開いてくれないし、小説のように輝かしいエンディングが待ってるわけでもない。
それでも、何もないこの場所には、今だって無限の可能性は残ってるんじゃないか、と年を経るごとに思うようになれたのは、ちょっぴり幸せなことだなって僕は苦笑いするんだ。

ただ、一つだけ変化したことがある。
やっと自分が生きていきたいと思う道を見つけたような感触を掴んだことだった。
それは残念ながら今の仕事ではなく、大学時代に学んだ法学の延長で、新しい宇宙法の模索をしていきたいという想いだった。
大学にいたときには、やりたいことというより半ば気だるい義務感のみに突き動かされていた法学の世界も、こうして不思議と有機的に今までの人生と絡み合いながら収斂していくというのが、とても不思議なことだったのだけど。

未だに独身貴族を謳歌している姉貴は、たまに僕の家に顔を出したかと思うと、あれこれ面倒ごとを持ち込んでくる。
大抵は自分でセッティングのできない家電やPCの操作だったりするのだけど、その時々に彼女はこう付け加えるようになった。
「ね、未来のこと頼りにしてる人がいるってウソじゃないでしょ。ま、便利屋さんだけどね」
「便利屋って何だよ・・・」
僕は苦笑いしつつも、その言葉を受けるたびにベランダのそれに目を向けた。

今でも、あの天体望遠鏡は、白いその姿をずっと遠くの星に向けて起立している。
−恋にもならなかったあの日の感触と、ほんの少しの情熱を消さないように。
今日も僕は、天体望遠鏡の向こう側から、未だ来ない道の果てを見つめ続ける。

[21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31]


« 前のページ:: 次のページ »
カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
プロフィール
HN:
タレ
性別:
男性
職業:
ホストと言われるけど違います(´・ω・`)
趣味:
音楽だいすっき!
自己紹介:
Bismarck鯖でぼんやりと生きています。
音楽大好き(聞くのも弾くのも作るのも)、それなりに拘るけどがむしゃらは好きじゃない、PTは会話がないとつまんない・・・そんなヤツの日常ですが、よかったら見てやってくださいませっ。

Profile
最新CM
[05/21 タレ]
[05/14 ぽくぇ]
[05/09 タレ]
[05/09 ふぁる]
[03/18 ひほ]
最新TB
バーコード
ブログ内検索

Powered by Ninja.blog * TemplateDesign by TMP
忍者ブログ[PR]