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Life in Progress

Bismarck鯖でおバカな日常を繰り返しているタルタルの、音楽と愛と欲望(?)に満ち溢れたFF11&リアル日記。
2024
03,29

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2004
06,25
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ISBN:4120035417 単行本 森 博嗣 中央公論新社 2004/06 ¥1,890

燃えるような空の色。
赤というのは、実はそれほど好きではない色だと思ってるんだけど、その反面、いつも惹かれてる自分がいることに気がつく。
それは、心の一番キレイな部分を、正直に、残酷に映しているからなんだろうか。
一番人間の表層にあるキレイな色を取ったものとは違って、一番深層に眠っている原石のようなモノだと僕は思う。

久々に発売日を心待ちにしていた小説だった。
前作である「スカイ・クロラ」も表紙がステキな作品だったけれど、あちらよりももっと孤独な、それでいて原色に近い作品だと感じた。
表紙だけじゃなくて、中身も。
決してのめりこんで読んでいたわけではないけれど、ページを一ページ一ページ大事にめくった。
確かに、これを読んでる瞬間、すごくうれしかったのをよく覚えている。

ナ・バ・テアという言葉を見たとき、最初は紀元前に栄えたナバテア帝国のかと思ったら、英語表記を見て思わずニンマリ。
「ナ・バ・テア−None But Air」(空以外何もない)
前作「スカイ・クロラ」でも独特の存在感を発していた、とあるパイロットのお話。
戦闘がビジネスショウとなった世界で、職業として人を殺すことを選択したパイロット・クサナギの心がたおやかに描かれていく。
表紙にある言葉がとても印象的で、これがすべてを象徴してるような気がする。

 僕は、
 空で
 生きているわけではない。
 空の底に沈んでいる。

 ここで生きているんだ。

散文的な描写ながらも、戦闘機が赤く切り取られた空をターンしていく様が脳裏に浮かんでは消えて行く。
物語は決して大仰に盛り上がることもないし、劇的な結論に導かれたわけでもないけれど、僕はこの作品の静かなトーンに浸っている瞬間、とてもその時をいとおしく思えた。
ミステリー云々ということよりも、登場人物達の決して単純ではない、境界条件の曖昧な思索が詩的な言葉で美しく綴られているからなんだろうな。
単純なテイストの好みとしては、森さんの作品でも「百年」シリーズの方が好きだったりするんだけど、この作品は殺し合いをしていても本当に静かな作品だと思う。

読み終わって、ふと遠く落ちていく日を眺めてみたくなった。

 自分が自分でないようなものに変わっていくような気がした。だけど、
 地上で生きていくということは、こういうこと、つまり、自分を含めて
 すべてを騙してしまうような機能を身につけること、かもしれない。
 (ナ・バ・テアより)

 

<p.s.>
どうやら、もう続編が決まっている様子でした。めっちゃ楽しみッスw
「ダウン・ツ・ヘヴン」というタイトルみたい。ツはtoでいいんだよね?^^;
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タレ
性別:
男性
職業:
ホストと言われるけど違います(´・ω・`)
趣味:
音楽だいすっき!
自己紹介:
Bismarck鯖でぼんやりと生きています。
音楽大好き(聞くのも弾くのも作るのも)、それなりに拘るけどがむしゃらは好きじゃない、PTは会話がないとつまんない・・・そんなヤツの日常ですが、よかったら見てやってくださいませっ。

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