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Life in Progress

Bismarck鯖でおバカな日常を繰り返しているタルタルの、音楽と愛と欲望(?)に満ち溢れたFF11&リアル日記。
2024
03,29

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2005
08,06
(ラジオはこちらのエントリーからどうぞ・v・)

「すまん、パクララ・・・これを・・・頼む」
「お父さん!そんなの嫌・・・」
「いいかい、これはお前を必ず導く光となるものだ。手放さず持っておくんだよ・・・」
父の意識が消えたとき、私はまだ冒険者見習いにもなっていなかった。
14歳の夏、ただ蝉の咽び泣くような声だけが私の記憶になった。
それでも、夏が来るたびに手にした鏡を見て思うのだ。
これは、本当に導きの光なのだろうか、と。

ベッドから立ち上がり、窓をさっと開けた。
夏とはいえ、ジュノの風は少し冷たい。
あれから片手で収まらないほどの年月が経過し、私も冒険者見習いを経て、やがて戦士として細々と生計を立てていけるようにはなった。
それでも、父が遺した鏡が何を導いてくれているのかは今でもよくわからない。
いや、わからなくなったのだ・・・。

「ねぇ、どうしたらいいと思う?」
鏡の奥では綺麗にそろえられた前髪の女が暗い目で私を覗き込んでいた。
−ああ、これが私。
よろよろと窓にもたれ掛かり、私はため息をついた。
力さえあれば何でもできると思っていたあの頃。
実際には、力を蓄えていくほどに自分の無力さがわかるだけだというのに。
「なんでここにいるんだろう、私・・・」
海からあがる潮風は、私に何も語ってはくれなかった。


翌日。
私は、鏡が発する不穏な気配に導かれて、エルディーム古墳へと潜入した。
過去の大戦で亡くなった諸侯達が眠るといわれるこの古墳、当時はとてもいい状態で眠りにつけたとは言えなかったようで、亡霊の気配がすると冒険者の間でも語り草になっている場所だ。
私も、今の自分が一人で歩くには少々心細い場所だったが、珍しく鏡が強い光を放ったこともあって、壁に手を付きながら微かにともった灯りを頼りに奥へと進む。
タルタルの私に取って、こういう場所は視界が狭くて非常に苦手な場所だ。
と、ジュルッという粘着質な音と同時に、熱がこちらに向かって飛んできた。
「これはファイガ・・・!」
だめだ、防ぎきれない!
目を伏せること、一秒、二秒・・・。
しかし、一向に熱は私を襲ってこなかった。

目を開けると、目の前には私の同じタルタル族の少年が己の拳に熱を収束させ、奥にいるヘクトアイズを殴りつけているところだった。
2,3発の拳であっという間にヘクトアイズが倒れる。
彼が、噂に聞く格闘家、モンクなのだろうか。
拳にすべてを賭けるアタッカーの中のアタッカー。
なんて強さなの・・・。
「あの・・・」
私が声をかけようとすると、彼はにっこりと微笑み、無言で闇の中へと姿を消した。
少し赤のグラデーションがかかった金色の髪が微かに揺れるのが見えた。

「・・・おかあさん・・・ヒック・・・」
彼と別れ歩いていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてきた。
曲がり角の向こうから現れたのは、まだ年端も行かないヒューム族の少女の姿。
「どうしたの?もう大丈夫」
「うえぇぇん、おかあさん・・・」
私は彼女の頬の煤をそっと払ってやり、手を取ろうとした。
その瞬間−。
「危ないッ、気をつけろ!」
後ろから飛んできた声に咄嗟に子供を胸に抱え、横へと飛ぶ。
ザシュッ!
錆び付いた片手剣が私のいた場所へと突き刺さる。
立ち上がる砂埃の向こうには、スケルトン族の憎悪に篭った目と、先ほど私を助けてくれたタルタルのモンクの姿があった。

「その子供は任せた。こっちは俺に任せて」
彼はそういうと、立ち上がり、ナックルを上にポンポンと軽やかに宙に放り投げ、己の拳へと装着した。
こんな場面にも慣れているのだろうか、汗ひとつかいていない。
と、その瞬間、私の懐の鏡が、じんわりと熱を持った。
慌てて取り出すと、それは確かに彼を柔らかな光で包んでいる。
「な、なに・・・?」
「いいか、子供を頼むぞ」
彼の声に慌てて前を見やると、身長の何倍もあるスケルトンが彼を襲うところだった。
「危ないッ!」
慌てて私が挑発しようとすると、彼は拳をギリギリのところで掻い潜り、裏から拳を繰り出した。
「カウンター、これがモンクの極意さ。よかったら一緒に加勢してくれ」
その言葉に私は、ここ最近ずっと悩んでいたことがちょっとずつ収斂していく瞬間に立ち会っている気がしたんだ。
その想いの正体に行き当たったのはもう少し後のことだったけれど、私は少なくともその瞬間、彼と一緒に剣を振り上げるその瞬間を、とてもとても愛おしく感じられたのだった。

やがてスケルトンが崩れ落ちる音と共に、私たちは武器を納めた。
子供が泣きじゃくりながら私にすがり付いてくる。
この年の子供が古墳に迷い込んだら、下手すればトラウマにもなり兼ねない。
こうした一般の人たちのケアをするのも我々冒険者の務めだ。
「先にこの子を連れて帰ります。あなたは?」
「ああ、俺もスケルトンの欠片を収集したら依頼人に報告に行かないと。ありがとう、パクララ」
「えっ、なんで私の名前を?」
私が驚いて彼の顔を見やると、彼は金色の頭を照れくさそうにかきながら、こう答えたのだった。
「君を探すのが、俺の受けた依頼だったんだよ。後でよかったら上層の倉庫前まで来てくれないか?」
−縁とは、かくも狭きものだ、と私は一人ごちる。
そう、鏡が導いたのがひょっとしたら場所ではなくて、人だったとしたら、それもまたひとつの縁と呼べるのかもしれない。
私には、それを確かめる必要があった。


ジュノ上層。
工業地区として昼間は活発な空気を漂わせるこの場所も、夜は少しばかりその喧騒も収まる。
そして、倉庫の一角で、そのやわらかい表情を浮かべたミスラが私を待っていた。
「あなたがパクララさんね・・・。一つ私の話を聞いてくれない?」
彼女の話は、好奇心旺盛なミスラらしいものだ。
つまりは、私の持っている鏡に興味があるということ。しかし−。
「この鏡を譲ることはできません。父の形見のこの鏡があるから、私は冒険者でいられるのですから」
私は彼女が予想しているであろう答えを口にした。
立ち去ろうとしたとき、彼女は思いがけない言葉を口にした。
「ええ、それはわかっているわ。私があなたに御願いしたいのは別のこと」
「えっ?」
「この鏡は、東方の国より齎された恐るべき魔力のものだといわれているわ。しかし、鏡の中には冒険者の意思すらも凌駕する強力なものもあるとか・・・私は、そんな鏡を求めて旅をしているの。もちろん悪用するつもりではないのだけど・・・よかったら、あなたの導きの鏡の力を借してくれないかしら?」
彼女がその鏡で何をするかを聞くのは、いくらなんでも野暮というものだろう。
それに、先ほどまで一緒だったタルタルのモンクの少年も、どうやら彼女のことはある程度認めている様子だったということもあって、私は彼女の依頼を受けることにした。


5日後、そのミスラから連絡が入った。
サンドリア周辺で怪しい鏡の情報があったというのだ。
私は、チョコボを走らせ、サンドリアへと急いだ。
天候にも恵まれたこともあり、半日もかからないうちにロンフォールの森が見えてくる。
「そろそろいいかしら?」
懐の鏡を取り出すと、鏡の光はサンドリア王国ではなく、そこから北西の方角へと伸びていった。
これは・・・ゲルスパ砦?
そう、これにオーク族が絡んでいたとなれば話はわかる。
サンドリアで鏡を見かけただけなら、おそらく彼女は商人に何らかの委託をしたことだろう。
それを避け、私のような冒険者に頼んだのは、何も鏡のことだけじゃない。
おそらく、こうした事態を予見していたのだろう。
相変わらずミスラという種族は強かだ、と私は心の中で密かに舌を巻いた。

グォォォォォッ!
ゲルスパ砦に潜入した途端、大きな雷鳴のような音が響き渡る。
この空気は一度だけ感じたことがあった。2ヶ月ほど前に請け負った国からのミッションで出会った強大なその敵。
「・・・そう、ドラゴンだ。パクララ、力を貸してくれる?」
「あなた・・・」
後ろから静かに歩み寄ってきたのは、タルタルの少年だった。
そう、古墳で出会った小さな格闘家。
彼もやはりここに導かれてきたのだろうか?
「どうやら鏡によって負のエネルギーがコントロールされているらしい。とはいえ、まずはあいつから倒さざるをえない、か・・・」
彼は一人ごちりながら、首を横にふり、次の瞬間、一気に飛んだ。





「サンドリアの子供を一人殺したな?許さねぇ・・・」
彼はそう言いながら温まった拳を一回ため、次の瞬間、ドラゴンの腹部へと何度も拳を往復させ、後ろへと宙返りをする。
「うぉぉぉ、コンボッ!」
どおっと音を立てながら、ドラゴンは崩れ落ちた。
そして、その足元には、割れた鏡が無残な姿を残して転がっている。

「子供が殺された・・・?」
「ああ、さっきロンフォールの森で遺体を見つけたんだ。あれはオークの手によるものではなかった。こんな鏡に殺されるなんて・・・」
「冒険者って・・・結局何もできないのかしら」
私は足元の鏡を拾い上げながらそう呟く。
そう、導きの鏡があろうがなかろうが、結局私に出来ることなど何もなかったのだ。
今までも、そしてこれからも。

「・・・そんなこと言うなよ。
あの古墳で助けてあげた子供に昨日会ったんだ。その子、隣の家の子がケガしているのを見て、自分のハンカチをその子に巻いて手当てをしていたよ。
誰のおかげだと思う?」
「えっ?」
「『親切な冒険者さんが、私にもこうしてくれたから』だってさ。
まだ俺たちに出来ることってたくさんあるんじゃないのかな?
人一人を幸せにするってとても難しいけれど、そんな何でもない行動の積み重ねがきっと人を幸せにする大切な行動なんだ。だからこそ、俺たちは冒険者なんだぜ?」
ああ、満たされるってこういう感情なんだ−そのとき、私は初めてそんな気持ちに触れた。
だから、そのとき鏡が示していたことにようやく思い当たったんだ。
「・・・あなたが映ってる。あなたには何かがあるみたい」
「えっ?」
驚く彼に向かって、私はやっとこの言葉が言えた。

「一緒に冒険に向かいましょうよ?だって私たちは冒険者ですもの」

読んでいただければわかるように、フェロークエを、フェローの立場から描いてみました。
ちなみに、オレはというと悩んだ挙句にタル♀にしちまいましたが、エル♀でもよかったなあ・・・。
しかし、うちのフェロー、全然育ってくれないんですけどwww
スケール装備マジでカコワルイorz
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無題
途中でバクララからパクララに名前が変わってるのは・・・
タレたんと(・∀・)人(・∀・)ケコーン
したのだと脳内補完しときますた( ̄ー ̄)ニヤリ

って、パクララたん裏パッチキタコレwww
puca: URL 2005.08/09(Tue) 17:10 Edit
無題
…最後の最後まで何が何だか…
たれちのお話にズリズリと引き込まれっぱなしでしたw
まぃってぃんぐ☆
知ってる単語が多いと本当に嬉しくなる年頃です。
えぇ、そんな感じだと思われますww
とっても…おもしろかったです☆
なつ: URL 2005.08/10(Wed) 04:54 Edit
当然裏パッチwww
>プカ
相変わらずの妄想っぷりで素敵すぎwww
ってか、文中のタルタルがかっこよすぎみたいな突込みが多すぎて困りまくりなのです( ; ゚Д゚)

突っ込みこんなに堂々とされると恥ずかしいジャマイカwww

>なつさん
これ、実際にあるクエストなんですよw
もっとも、いろいろ勝手に設定加えちゃってますけど。
いつかやるときがあれば、この文章思い返してみると面白いかもしれませんv
タレ: URL 2005.08/12(Fri) 15:38 Edit

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性別:
男性
職業:
ホストと言われるけど違います(´・ω・`)
趣味:
音楽だいすっき!
自己紹介:
Bismarck鯖でぼんやりと生きています。
音楽大好き(聞くのも弾くのも作るのも)、それなりに拘るけどがむしゃらは好きじゃない、PTは会話がないとつまんない・・・そんなヤツの日常ですが、よかったら見てやってくださいませっ。

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